概要
20世紀後半以降のアメリカ文学史は、文字離れと内容の多様性に直面しているが、本書は文学史の原点に立ち戻り、狭義の文学を文学作品として読む姿勢を基軸とする。また、世界文学におけるアメリカ文学、アメリカ文学と日本文学の関連性などにも視野を広げる。
目次
はしがき
いまを生きる アメリカ文学史の現在
日本語読者のための,世界の中のアメリカ文学史
序 章 ダイジェスト アメリカ文学史
1 ピューリタン文学と小説の始まり
2 アメリカン・ルネサンス
3 リアリズムと自然主義
4 アメリカン・モダニズムの展開
5 冷戦の時代と文学
6 ポストモダニズムから多文化主義の時代へ
7 新世紀のアメリカと世界
第Ⅰ部 アメリカ文学史
イントロダクション―邂逅の衝撃
1 アメリカ大陸の「発見」
2 新世界と活版印刷術
3 「発明」されるアメリカ
第1章 起源と始動―植民地時代~1820年
1 アウトライン
⑴ バージニア植民地の始まり ⑵ ニューイングランドとピューリタン ⑶ マサチューセッツ湾植民地と説教文学 ⑷ 理神論と啓蒙主義 ⑸ カルヴィニズムの抵抗 ⑹ アメリカ革命と政治的独立
2 ピューリタン文学
⑴ 予型論という発想 ⑵ ピューリタンと日記 ⑶ アメリカ最初の詩人,アン・ブラッドストリート ⑷ エドワード・テイラー,あるいは最後の形而上詩人
3 理神論の18世紀 ⑴ マザー王朝 ⑵ 近代人フランクリン ⑶ フランクリンと明治日本
4 アメリカ小説の誕生
⑴ 感傷小説,あるいは誘惑と美徳と破滅の物語 ⑵ ローソンとフォスター ⑶ C・B・ブラウン,あるいはアメリカン・ゴシック
第2章 ロマン主義の時代―1820~1865年
1 アウトライン
⑴ アメリカの知的独立 ⑵ 孤立主義と拡張主義 ⑶ ユニテリアン主義と超絶主義 ⑷ 社会改良運動と南北対立
2 ロマン主義文学の誕生
⑴ ロマン主義とは何か ⑵ アーヴィングとノスタルジー ⑶ クーパーと自然の美徳 ⑷ ブライアントと炉辺詩人たち ⑸ ハドソン・リバー派の風景画
3 アメリカン・ルネサンス
⑴ 黄金期の到来 ⑵ あらゆる文学ジャンルの源泉にポーがいる ⑶ 詩人エマソンと思想の環 ⑷ 理念と行動の人ソロー ⑸ ホイットマンの自由(詩)と民主主義 ⑹ 心の探求者ナサニエル・ホーソーン ⑺ メルヴィルと海 ⑻ ディキンソンと「白の選択」 ⑼ ルイザ・メイ・オルコット―少女小説家の仮面の陰で ⑽ ポー,エマソン,ホイットマンの日本的受容
第3章 リアリズムと自然主義―1865~1914年
1 アウトライン
⑴ 変容するアメリカ社会 ⑵ 技術革新とホワイト・シティ ⑶ 多民族社会の形成 ⑷ 「金メッキ時代」から革新主義の時代へ ⑸ 「 新しい女性」とギルマンの「黄色い壁紙」 ⑹ 南部における人種隔離と『黒人のたましい』 ⑺ フロンティアの消滅と帝国への道
2 リアリズムの勃興
⑴ リアリズムとは何か ⑵ ハウエルズとリアリズム ⑶ マーク・トウェイン―生きることとは書くこと ⑷ 意識の探求者ヘンリー・ジェイムズ ⑸ ローカル・カラーの文学 ⑹ ジュエットとショパンの女性たち ⑺ マイノリティ作家の登場
3 リアリズムから自然主義へ
⑴ 自然主義とは何か ⑵ ノリスのロマンス ⑶ スティーヴン・クレインと主観的な戦争 ⑷ ロンドンの犬 ⑸ ドライサーと欲望の声 ⑹ ウォートンとアメリカ/ヨーロッパ ⑺ ダイム・ノヴェル―商品としての物語
第4章 モダニズムの時代―1914~1945年
1 アウトライン
⑴ 「狂騒の20年代」から大恐慌へ ⑵ 第1次世界大戦とインフルエンザ・パンデミック ⑶ 大量消費社会と大衆文化の到来 ⑷ 消費する/されるフラッパー ⑸ 排外主義の時代 ⑹ 大恐慌とニューディール ⑺ 第2次世界大戦と日系人の強制収容
2 モダニズムの幕開け
⑴ モダニズムとは何か ⑵ 諸分野におけるモダニズム ⑶ 「リトル・マガジン」と新しい詩の誕生 ⑷ ロバート・フロストとアメリカン・モダニズム ⑸ パウンドとウィリアムズ ⑹ モダニスト詩人T・S・エリオット
3 モダニズム小説の展開
⑴ 「失われた世代」の文学 ⑵ キャザーのモダン・ノスタルジー ⑶ スタインと環大西洋モダニズムの形成 ⑷ アンダーソンとルイスの中西部 ⑸ フィッツジェラルドと結婚という謎 ⑹ ヘミングウェイの恋と戦争 ⑺ ウィリアム・フォークナーと南部
4 複数のモダニズム
⑴ ハーレム・ルネサンス―運動の多様性 ⑵ 1930年代の文学 ⑶ サザン・ルネサンスの作家たち ⑷ オニールとアメリカ近代劇の発展
第5章 冷戦と体制の動揺―1945~1963年
1 アウトライン
⑴ 戦後体制の盟主として ⑵ 冷戦と文化外交 ⑶ 赤狩りの時代へ ⑷ 公民権運動の本格化 ⑸ ケネディ登場と暗殺
2 時代の空気と戦後文学
⑴ サリンジャーと純粋さの追求 ⑵ 自由を求めるビート・ジェネレーション ⑶ ユダヤ系アメリカ文学 ⑷ ウラジーミル・ナボコフと冷戦期アメリカ ⑸ 黒人作家たちにとっての実存 ⑹ 新たな南部作家たちの声 ⑺ 戦後の2大劇作家―ウィリアムズとミラー ⑻ 告白詩とシルヴィア・プラス
第6章 ポストモダニズムと多様化の時代―1963~2001年
1 アウトライン
⑴ ケネディの死を乗り越えて ⑵ カウンターカルチャーの世代へ ⑶ フェミニズム運動のうねり ⑷ 超大国の動揺 ⑸ アメリカの復権を目指すレーガン時代 ⑹ 「歴史の終わり」から世紀転換期へ
2 ポストモダニズムの勃興
⑴ ポストモダニズムとは何か ⑵ ポストモダン文学の展開 ⑶ 『キャッチ=22』と現実の(無)意味 ⑷ ポストモダン文学第1世代の作家たち ⑸ ヴォネガットと戦争の語り ⑹ トマス・ピンチョンと現代の科学技術 ⑺ ベトナム戦争とティム・オブライエン ⑻ アメリカと暴力,マッカーシーとオーツ ⑼ カーヴァーと「アメリカの夢」の後 ⑽ トニ・モリスンと黒人の声なき声 ⑾ 多様化する声とジャンル ⑿ ポストモダン第2世代 ⒀ 自然とアメリカと詩人たち
第7章 21世紀―2001年~
1 アウトライン
⑴ 「テロとの戦い」の時代へ ⑵ 拡大する経済格差と社会の分断
2 アメリカ文学の現在
⑴ テロの時代のアメリカと小説 ⑵ 創作環境と移民文学 ⑶ 翻訳文学と広がる「文学」の定義
第Ⅱ部 作品解題
1 エドワード・テイラー『準備のための瞑想』(1682―1725執筆)
2 ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』(1818―19)
3 ワシントン・アーヴィング「リップ・ヴァン・ウィンクル」(1819)
4 ラルフ・ウォルドー・エマソン『自然』(1836)
5 エドガー・アラン・ポー「モルグ街の殺人」(1841)
6 ナサニエル・ホーソーン『緋文字』(1850)
7 ハーマン・メルヴィル『白鯨』(1851)
8 ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデン―森の生活』(1854)
9 ウォルト・ホイットマン『草の葉』(1855―92)
10 エミリー・ディキンソン「わたしは見ることが好き,それが何マイルも舐めていき―」(1862)
11 ヘンリー・ジェイムズ『ある婦人の肖像』(1881)
12 マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』(1885)
13 セオドア・ドライサー『シスター・キャリー』(1900)
14 イーディス・ウォートン『歓楽の家』(1905)
15 シャーウッド・アンダーソン『ワインズバーグ,オハイオ』(1919)
16 T・S・エリオット『荒地』(1922)
17 ウィラ・キャザー『迷える夫人』(1923)
18 F・スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』(1925)
19 アーネスト・ヘミングウェイ『武器よさらば』(1929)
20 ウィリアム・フォークナー『八月の光』(1932)
21 J・D・サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』(1951)
22 フラナリー・オコナー『賢い血』(1952)
23 ジェイムズ・ボールドウィン『山にのぼりて告げよ』(1953)
24 ジャック・ケルアック『オン・ザ・ロード』(1957)
25 シルヴィア・プラス『エアリアル』(1965)
26 トマス・ピンチョン『重力の虹』(1973)
27 レイモンド・カーヴァー『大聖堂』(1983)
28 コーマック・マッカーシー『ブラッド・メリディアン あるいは西部の夕陽の赤』(1985)
29 トニ・モリスン『ビラヴド』(1987)
30 コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(2016)
第Ⅲ部 資 料
アメリカ文学を読む日本語読者のための読書リスト
関係年表
関連地図
人名索引
作品索引