概要
19世紀後半の発端から解き明かし、20世紀半ばのクライマックスを経て、現在活躍している若手作家たちまでを、この一冊で概観する!
作家の生い立ちや作品、文学的特徴に触れつつ、新しい切り口、テーマ、解釈を中心に論じ、文学辞典と学術論文集の良さを融合!
巻末には作家たちの生没年がひと目でわかる年表付き。目次
はじめに ユダヤ系アメリカ文学のイメージをつかむ(鈴木 元子)
第Ⅰ部 論文編———ユダヤ系アメリカ文学の主要作家の真髄
◉エイブラハム・カーハン 1860-1951
社会進化論的視点からみた『デイヴィッド・レヴィンスキーの出世』(大工原 ちなみ)
◉ポール・ボウルズ 1910-1999
ユダヤ系アメリカ人ポール・ボウルズとその周辺(外山 健二)
◉アーウィン・ショー 1913-1984
『夏の日の声』と反ユダヤ主義
——「ユダヤ系アメリカ人作家」としてのアーウィン・ショーの現在——(伊達 雅彦)
◉バーナード・マラマッド 1914-1986
マラマッドとユダヤ系文学の帰還型主人公(大工原 ちなみ)
◉アルフレッド・ケイジン 1915-1998
『ニューヨークのユダヤ人たち』
——ケイジンの描くニューヨークとユダヤ人作家たち——(山内 圭)
◉ソール・ベロー 1915-2005
〝言語、ユーモア、アメリカ〟
——『ユダヤ短篇名作集』と『ラヴェルスタイン』から——(鈴木 元子)
◉グレイス・ペイリー 1922-2007
グレイス・ペイリーのナラティヴ
——「死語で夢見る者」の間テクスト性をめぐって——(大場 昌子)
◉ハイム・ポトク 1929-2002
『選ばれしもの』にみる文化衝突と《目》の象徴性(鈴木 元子)
◉フィリップ・ロス 1933-2018
理想が裏切られて〈苦悩〉に沈む主人公(岩橋 浩幸)
◉ポール・オースター 1947-
ポール・オースター、または「書くこと」への執着(林 日佳理)
◉ポーラ・ヴォーゲル 1951-
劇作『ミネオラ・ツインズ』の隠れたメッセージとは(村田 希巳子)
◉ジェームズ・マクブライド 1957-
ユダヤ人とカラー・ラインの問題
——『水の色』に描かれるユダヤ人とアメリカの人種関係——(本田 安都子)
◉マイケル・シェイボン 1963-
曖昧さという戦略(坂野 明子)
◉ネイサン・イングランダー 1970-
困難な倫理
——『地中のディナー』における閾の詩学——(篠 直樹)
◉アイザック・アシモフとエドゥアルド・ハルフォン 1920-1992/1971-
アイザック・アシモフとエドゥアルド・ハルフォンの〈エスニック〉なユダヤ的遺産
(ジャック・ライアン/外山 健二訳)
◉ジョナサン・サフラン・フォア 1977-
『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』における「神話世界」の詩学(篠 直樹)
第Ⅱ部 解説編———ユダヤ系アメリカ文学の広がり
◉エマ・ラザラス 1849-1887
ユダヤ系アメリカ文学のパイオニア(大工原 ちなみ)
◉アンジア・イージアスカ 1880-1970
「贅沢な暮らし」と『パンを与える人』(本田 安都子)
◉アーサー・ミラー 1915-2005
『荒馬と女』と『セールスマンの死』に見る〈はぐれ者たち〉(伊達 雅彦)
◉シンシア・オジック 1928-
『ショールの女』
——ホロコーストとその余波——(鈴木 元子)
◉イェジー・コジンスキー 1933-1991
『異端の鳥』と『ビーイング・ゼア』(伊達 雅彦)
◉ニコール・クラウス 1974-
『ヒストリー・オブ・ラブ』
——彼らが「愛」について語るとき——(篠 直樹)
コ ラ ム
永遠のアンネ・フランク——世代・国境を越えて愛され続ける理由——(上田 雅美)
ソール・ベローの思い出 (半田 拓也)
おわりに 各章の要約(鈴木 元子)
ユダヤ系アメリカ作家年表
索引