『ティファニーで朝食を』の作者トルーマン・カポーティが、最初に手がけた中編小説Summer Crossingの完訳。
ホリーのように、自由と所属の場を求めてさまようヒロイン、グレイディの物語。
本書『サマー・クロッシング』は、トルーマン・カポーティ(一九二四―八四)の遺稿Summer Crossing(二〇〇五)の邦訳である。カポーティは一九四三年からこの物語の執筆を開始し、その後、中断の時期を経て、一九五〇年頃これを書き上げた。ところが彼は、この作品にひっかかるところを感じたために原稿を破棄した。生前、彼は折に触れてそう公言した。しかし、二〇〇四年秋、四冊のノートに綴った『サマー・クロッシング』の原稿を含む彼の貴重な遺品が発見された。その経緯と原稿ノートが辿ったその後の運命は、アラン・U・シュワルツが遺稿に寄せた本書の「後記」に記されているとおりである。 (「訳者あとがき」より)