概要
アメリカ文学と日本の少女マンガの接点を探りつつ、「アメリカ」という場所が、1960年代から90年代の日本の少女マンガでどのように表象されてきたかをたどる。
「少女マンガ」という枠組みの文化史的意義を再考し、同時に文化受容の重要な媒体であることを、主に1960年代後半から2000年に入った頃までの作品を取り上げて考察し、その魅力に迫る。目次
序 章 女の子はとまらない──少女マンガ、アメリカ、文学
♣それは『キャンディ・キャンディ』からはじまった
♣女の想像力には翼がはえている
第Ⅰ部 アメリカのおともだち──わたしたちのアメリカン・ガール
第1章 アメリカン・ガール誕生前夜──ここではないどこかへ
♣日本の少女小説とアメリカの家庭小説
♣外国文学の翻訳と受容
♣翻訳文学を読む少女たち
第2章 アメリカン・ドリームのゆくえ──どこかでもっとなにかが
♣少女マンガ創世記
♣ロマンチック・コメディ──『すてきなコーラ』
♣関係性のロールモデル──『マリイ♥︎ルウ』
♣差別とアメリカン・ガール──『ブロードウェイの星』
♣愛と自立と職業──『キャンディ・キャンディ』
♣少年というヒロインたち──『カリフォルニア物語』
♣死を受けとめる場所──「アメリカン・パイ」
第3章 手をのばせばそこに──少女たちのたどりつく場所
♣西海岸の異邦人──『エイリアン通り』
♣等身大のアメリカ──『ファミリー!』
♣アメリカ文学との交差点──『BANANA FISH』と『船を建てる』
♣日本への回帰
第4章 東の果ての小さな家──フロンティア・スピリットとかわいい西部
♣西部の伝説──リディア・マリア・チャイルド
♣西部を脱神話化する──マーガレット・フラー
♣荒野の独立宣言──キャサリン・マリア・セジウィック
♣ピクチャレスク・アメリカ
♣女の子のいる西部──ローラ・インガルス・ワイルダー
♣日本に渡ったローラ──日本の少女文化の中の西部
第Ⅱ部 エターナル・ガールズ──少女とマンガを考える
第5章 ハッピーエンドのその先に──永遠のオトメチック性
♣そのままの君でいいと言われるために
♣ハッピーエンドの逆説
♣永遠の少女性
第6章 ぼんやりと考える──吉本ばなな初期作品と少女マンガ的雰囲気について
♣自分が傷ついていたことすら、知らなかった
♣一人ぼんやりと考えること
♣心の声から歌う声へ
第7章 ワンダーウーマンとは誰か?──異邦人としてのアメリカン・ガール
♣ワンダーウーマンの誕生
♣マスキュリニティ再生と守る女性
♣フェミニスト・ユートピア
♣不死鳥としてのワンダーウーマン
註
参考文献
あとがき
雑誌索引
事項索引
人名・作品名・書名索引