1. 新刊書
  2. 武田悠一編著. 『ゴシックの享楽―文化・アダプテーション・文学』 彩流社, 2021. 12. 25. 四六判385+10頁, 4,000

武田悠一編著. 『ゴシックの享楽―文化・アダプテーション・文学』 彩流社, 2021. 12. 25. 四六判385+10頁, 4,000

概要

……不安・恐怖・快楽……

現代に拡散するゴシック小説から映画アダプテーション、TVドラマ、ゴスカルチャーまで 時代とともに変容するゴシックを論じる。

タイトルの〈享楽〉とは単なる快楽ではなく、ジャック・ラカン的な「享楽(ジュイサンス)」──不快や苦痛をともなう快楽、あるいは苦痛であることの快楽──という意味を込めている。不快な出来事や、時には死に至るような苦痛を来る返し語り、不安や恐怖を呼び起こすゴシックの〈享楽〉。 その文化的・文学的、社会的・政治的な意味とは何かを問う論集。

目次

序章  なぜゴシックか?――フロイトからマイケル・ジャクソンへ (武田悠一)

第1部  文化

 第1章  クィア・フランケンシュタイン――ゴシックと死の欲動 (武田悠一)

 第2章  ロバート・エガース監督作品『ウィッチ』を〈深読み〉する (中村栄造/名城大学教授)

 第3章  「南部ゴシック」の政治学――『ヴァンパイア・ダイアリーズ』と『トゥルーブラッド』の「怪物」たち (中山麻衣子/愛知学院大学非常勤講師)

 第4章  英国ゴスカルチャーの世界へようこそ (山﨑僚子/名古屋学院大学講師)

 【コラム①『高慢と偏見とゾンビ』と美少女剣士】 (武田美保子/京都女子大学名誉教授)

 

第2部  アダプテーション

 第5章  E・A・ポー「アッシャー家の崩壊」の映画化について (大場厚志/東海学園大学教授)

 第6章  『黄金の眼に映るもの』とホモフォビア──カーソン・マッカラーズとジョン・ヒューストン (岩塚さおり/名城大学非常勤講師)

 第7章  シンデレラの子ども──『ジェイン・エア』と『13番目の物語』 (武田尚子/中京大学非常勤講師)

 第8章  クィアな吸血鬼たち──『夜明けのヴァンパイア』から『ロスト・ソウルズ』へ (武田美保子)

 【コラム②〈さまよえるオランダ人〉の悲恋】 (小西章典/大同大学准教授)

 

第3部  文学

 第9章  オースティン流ゴシック小説『ノーサンガー・アビー』 (大木ひろみ/中京大学非常勤講師)

 第10章 トニ・モリスン『ラヴ』における亡霊たち (蟹江弘子/愛知県立大学非常勤講師)

 第11章 「西」から来た魔女──アイリッシュ・ゴシックとしての『吸血鬼カーミラ』 (山田幸代/南山大学非常勤講師)

 第12章 英領インドのゴシック小説におけるカーリー女神信仰──フローラ・アニー・スティールの作品を中心にして (小西真弓/豊橋創造大学名誉教授)

 【コラム③久生十蘭の「ハムレット」】 (石塚倫子/東京家政大学教授)