概要
同時代のメディアや文化の政治学からヘミングウェイ文学を再考察する。
ヘミングウェイが生きた映画/映像の世紀、モダニズム/ファシズムの時代を軸に、ジャーナル、フィルム、フォトグラフ、アート、そしてノヴェルといった政治とメディアを横断して「文学」を別角度から検討し、文化/メディア研究を更新する!目次
はじめに ヘミングウェイと文化の政治学
1.テクスト×コンテクスト
2. 芸ア ー術ト と政ポリティクス治——クロスメディア序説
3.各章概説——クロスメディア実践
第1章 クロスメディア・ヘミングウェイ
——ニューズリール、ギリシア・トルコ戦争、「スミルナの桟橋にて」
1.二つの「スミルナ」——交差するメディア
2.戦争の光景——ニューズリール「スミルナ炎上」
3.難民と母子——『トロント・スター』
4.赤子と騾馬——短編小説「スミルナの桟橋にて」
第2章 睾丸と鼻——ヘミングウェイ詩編と「老い」の身体論
1.睾丸スキャンダル——テクノロジーとフリークス
2.ジャズ・エイジの表裏——グロテスクと抒情
3.睾丸詩編——ヘルスとグロテスク
4.睾丸と鼻——フリークス的身体
5.「老い」の身体論——詩と散文
第3章 欲望のスクリーン——ターザン、帝国、ジャングル・プール
1.エレファント・イン・ザ・ズー
2.アメリカの中の「アフリカ」——恐慌とジャングル・プール
3.フレーミング・アフリカ——人種とスクリーン
4.アフリカの中の「アメリカ」——ヘミングウェイのサファリ
5.欲望のスクリーン——イメージとしての「アフリカ」
第4章 ゲルニカ×アメリカ——イヴェンスとクロスメディア・スペイン
1.ゲルニカ×ゲルニカ
2.『ライフ』、イヴェンス、スペイン体験
3.フィルム×ジャーナル——クロスメディア・スペイン
4.シネマティック・ゲルニカ——『スペインの大地』を見る
5.ゲルニカ×アメリカ——『スペインの大地』とFSA
第5章 ヘミングウェイ、戦争に行く——ジェンダー、ナショナリズム、『脱出』
1.映画と弾丸——戦時の共犯関係
2.プロパガンダとワーナー・ブラザーズ——『ド・ゴール物語』
3.戦争、女性、口紅——広告とジェンダー
4.フレーミング・ファム・ファタール——『脱出』と『ミルドレッド・ピアース』
5.帰国のレトリック——ファム・ファタールと医師
[補章1]シネマ×ヘミングウェイ①——サム・ウッド監督『誰がために鐘は鳴る』
1.女性映画のジェンダー——医師と患者
2.メロドラマの陥穽——顔とクロースアップ
第6章 マン・オン・ザ・ベッド——コード、ジェンダー、『殺人者』
1.フィルム・ノワールと『殺人者』
2.コード、ジェンダー、双生のジャンル
3.フラッシュバックとは何か——『ローラ殺人事件』と『殺人者』
4.マン・オン・ザ・ベッド——二重のフレームとジェンダー
[補章2]シネマ×ヘミングウェイ②——アンドレイ・タルコフスキー監督『殺人者』
1.メディアの両極——ヘミングウェイ×タルコフスキー
2.鏡、密室、双子
第7章 カリブ×アメリカ——『老人と海』と文化の政治学
1.パパ・ダブルビジョン——アメリカとキューバ
2.文化の政治学——フォークナー、ヘミングウェイ、『ライフ』
3.アメリカン・インヴェイジョン——テクストとコンテクスト
4.反転する狩り——「老い」のスペクタクル
[補章3]シネマ×ヘミングウェイ③——アレクサンドル・ペトロフ監督『老人と海』
1.ガラスペインティング・アニメーション
2.十字の形象と聖痕
第8章 ライティング・ブラインドネス——「視」の逃走/闘争
1.メディア、盲目、「終わり」の意識
2.「眼」のモダニズム——戦争、キュビズム、フィルム
3.「眼」と身体——メディアと晩年のアフリカ
4.ライティング・ブラインドネス——暗闇の物語
5.「無(ナダ)」からの逃走/闘争
[補章4]シネマ×ヘミングウェイ④——フィリップ・カウフマン監督『私が愛したヘミングウェイ』
1.二人のヘミングウェイ——マーサとアーネスト
2.愛の風景——ツーショットとクロスカッティング
おわりに ヘミングウェイ・アンド・ビヨンド