概要
アメリカの天才作家、トマス・ウルフを知っていますか?ヘミングウェイ、フィッツジェラルドと並ぶ「巨人」の全貌が、いま明らかにされる!
アメリカ文学史の講義で初めてその名を知り、超人的な記憶力と執筆量に興味をひかれ、すぐにウルフの処女作『天使よ故郷を見よ』を読んでみた。その激流のようなレトリカルな文体と圧倒的なパワーに驚き、いつしか熱病のようにウルフにとりつかれてしまった。『天使よ故郷を見よ』を読了すると、息つく間もなく続編『時と河について』にとりかかり、その長さにひるむこともなくひと夏かけて読み通した。
目次
はしがき——自伝的な、あまりにも自伝的な
第一章 ヘミングウェイとウルフ——エクリチュールの両極
第二章 トマス・ウルフの作品と「民衆的形式」
第三章 アルタモント、天使の詩——『天使よ故郷を見よ』を読む
第四章 劇作家くずれの小説家——トマス・ウルフと「劇」
第五章 再生と反復について——『ある小説の物語』と『時と河について』
第六章 ウルフと「夜」
第七章 トマス・ウルフの遺作——『蜘蛛の巣と岩』と『汝ふたたび故郷に帰れず』
第八章 最後の一〇マルク——トマス・ウルフ「汝らに告ぐることあり」
第九章 「大地の蜘蛛の巣」についての一考察
第十章 削除された原稿——トマス・ウルフのO Lostについて
あとがき
初出一覧
トマス・ウルフ主要参考文献
索引(人名・地名・書名)