1. 新刊書
  2. 峯真衣子著. 『奴隷の文学誌 声と文字の相克をたどる』 青弓社, 2018. 4. 27. 四六判 328頁, 3,000

峯真衣子著. 『奴隷の文学誌 声と文字の相克をたどる』 青弓社, 2018. 4. 27. 四六判 328頁, 3,000

概要

法律で読み書きが禁止されるという体験を強いられた奴隷制以来、アフリカン・アメリカンにとって識字を得ることは自由と同義だった——文学と声の緊張関係を問い直すために、奴隷体験記から現代作家にいたるアフリカン・アメリカン文学の150年を照らし出す。


目次

はじめに——ボブ・ディランのノーベル文学賞と黒人霊歌から考える

第1部 声から文字へ

第1章 十九世紀の奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)

 1 読み書き禁止法というトラウマ

 2 演説が活字になる過程

 3 奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の定型と「声」が成熟する過程

 4 フレデリック・ダグラスの奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)

第2章 二十世紀の連邦作家計画(ルビ:FWP)スレイヴ・ナラティヴ

 1 ニューディール政策による連邦作家計画(ルビ:FWP)

 2 ガイドブック

 3 オーラル・ヒストリー

 4 元奴隷の声が記録されるまで

 5 読み書き禁止法の証言

第2部 文字から声へ

第3章 ラルフ・エリスンとヴァナキュラーな声

 1 十九世紀奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)と『見えない人間』

 2 リテラシーと自由の神話

 3 声を求める旅

 4 エリスンの未完のプロジェクト

 5 FWPインタビューと『見えない人間』

 6 奴隷小屋からのストーリーテリング

 7 プレ・テクストとしての奴隷制度

 8 ニューヨークに現れる南部

 9 「ラインハート」という未知なる可能性

 10 声と文字をめぐる三つの文学評論

第4章 アーネスト・J・ゲインズと復活した奴隷たちの声

 1 新・奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)

 2 再燃した奴隷体験記(ルビ:スレイヴ・ナラティヴ)の代筆の問題

 3 再評価されるFWPスレイヴ・ナラティヴ

 4 FWPスレイヴ・ナラティヴを擬装すること

 5 言い間違い、同じ言葉の繰り返し

 6 話の脱線、時間軸の混乱

 7 読者に話しかけてくる奇妙な本

 8 百十歳の無敵のヒロイン

 9 『グラマトロジーについて』と声と文字の問題

第5章 トニ・モリスン作品の声と文字の問題

 1 『ソロモンの歌』の奇妙な名前をめぐる描写

 2 ユニークな名前に隠された意味

 3 名前と識字

 4 最小の声の物語としての名前

 5 『ビラヴィド』の亡霊はなぜ肉体をもたなければならなかったか

 6 亡霊は行間から現れる

 7 声と肉体

 8 妹と文字文化

 9 おびただしい数の奴隷の復活

 10 言葉にならない怒りを文字にすること

むすびにかえて