1. 新刊書
  2. 上優二著. 『スタインベックの物語世界——生と死と再生と』 彩流社, 2017. 11. 30. 四六判 302+21頁, 3,400

上優二著. 『スタインベックの物語世界——生と死と再生と』 彩流社, 2017. 11. 30. 四六判 302+21頁, 3,400

概要

スタインベック没後50年(2018年)記念出版。

20世紀アメリカ文学を代表するノーベル賞作家、ジョン・スタインベック(1902-68)。

「人種問題」、「核の問題」、「環境問題」、「貧富の格差問題」、「人権の問題」、「生と死と愛の問題」等々、今日的課題を真摯に受け止め、20世紀アメリカに大きな痕跡を残した。

スタインベックが、個人的な経験、社会的・歴史的事件(世界大恐慌、二つの世界大戦、冷戦体制、公民権運動、環境破壊など)、さらに時代思潮などを、どのように自己の物語世界のなかに織り込んだかを考察し、人間観の特質と変遷を検証、その普遍的価値を再評価する。

第1作『黄金の杯』(1929)から各代表作、旅行記『チャーリーとの旅』(1962)、そして最後の作品『アメリカとアメリカ人』(1966)まで取り上げ、スタインベック文学の特質に迫る。

ウォルト・ホイットマン、ヘンリー・D・ソローとの比較考察、国際ペン東京大会(1957)に出席するため、来日したときの貴重なエピソードも紹介する。


目次

序論 スタインベック文学の特質

第1章 処女作『黄金の杯』

──スタインベック文学の萌芽

第2章 『知られざる神に』

──「日常の世界」から「神話の世界」へ

第3章 『トーティーヤ・フラット』

──アーサー王伝説のテーマとパラドックス

第4章 スタインベックの人間像

──個人と集団の二重性

第5章 『はつかねずみと人間』

──自然主義文学的特質と社会的弱者への眼差し

第6章 『怒りのぶどう』の物語世界

──ホイットマン「私自身の歌」との比較考察

第7章 『キャナリー・ロウ』

──「道」の世界を探る

第8章 スタインベックの「潮だまり」とソローの「湖」

──宇宙像を育む場

第9章 『爛々と燃える』〈劇小説〉

──殺す側の態度

第10章 『エデンの東』のパラドクシカルな物語世界

──解放の哲学とピューリタニズムの残照

第11章 『チャーリーとの旅』と『アメリカとアメリカ人』

──スタインベックのアメリカ観

第12章 国際ペン東京大会と「ノーベル文学賞受賞演説」