概要
詩人として出発したフォークナーを、小説へと、そして南部社会と人種意識というテーマへと向かわせたものはなにか。
後に妻となるエステル・オールダムとの共作、及び彼女の作品の分析を通じてこの問いに応答する本邦初のエステル論はじめ、フォークナー読解に新たな視点を導入する論考群。
目次
まえがき
第一部 ヨクナパトーファ・サーガ以前のフォークナー
第一章 『大理石の牧神』における二人の母──月と大地、モードとキャロライン・バー
第二章 エステルの「星条旗に関わること」、エステルとフォークナーの「エリー」──エステルの作品がフォークナーに与えた影響について
第三章 『兵士の報酬』論
第二部 エステルの三つの短編小説
第四章 「ドクター・ウォレンスキー」──ポーランド人とニューオーリンズの人形
第五章 「渡航」──五色のテープと富士の雪
第六章 「星条旗に関わること」──上海のアメリカ人
第三部 一九五〇年代のフォークナー
第七章 「共産主義者」と「黒ん坊びいき」──『館』における階級と人種
第八章 フォークナーと公民権運動──フォークナーの一九五〇年代における人種問題に関する発言について