概要
シーザー主義(=帝国主義)の亡霊に絶えず晒されてきた共和国アメリカ……。1776年に誕生した美徳の共和国アメリカが、その対極に位置する帝国主義国家に変貌した最大のきっかけが、1899〜1913年の米比戦争である。
米比戦争の本質に迫るのは、共和国という振り子が共和主義から帝国主義へと大きく振り切った状態である現在のアメリカ合衆国そのものを知ることでもある。本書では、政治家セオドア・ローズヴェルトに代表される帝国主義者たちと小説家マーク・トウェインに代表される反帝国主義者たちを両極に配置して、アメリカ文学研究の大家が、歴史的、文化的な角度から米比戦争の本質にアプローチする。
目次
プロローグ——米比戦争とは何だったか
第一章 平和のための膨張——セオドア・ローズヴェルト
第二章 共和国アメリカのゆくえ——反帝国主義連盟の論客たち
第三章 国民的作家の変身——マーク・トウェイン
第四章 星条旗はためく下で——聖戦意識と残虐行為
第五章 愛国者たちと反逆者たち——反帝国主義小説を読む
第六章 異文化との遭遇——日記と手紙のなかの侵略者たち
エピローグ——セントルイス万博とフィリピン・リザベーション
引用・参考文献
あとがき