概要
ポストモダン・アメリカ文学と最後のフロンティア〈死〉が織りなすエクリチュールの饗宴。
デリーロ、パワーズ、エリクソン、バース、ベローから読み解く「郵便空間」としてのアメリカ。
目次
はじめに:〈死〉をめぐるアポリア——『共和国の亡霊』
序章:開かない扉、届かない手紙
Ⅰ 喪服の似合うベロー
第1章:この〈死〉を掴め——『この日を掴め』のパルマコン、タムキン
第2章:老人をして死者を葬らせよ——『サムラー氏の惑星』における「盲者の記憶」
第3章:贈与の死、〈死〉の贈与——蘇る『フンボルトの贈り物』
第4章:「重ね書き」される身体——『学生部長の一二月』における喪のエクリチュール
Ⅱ メタフィクショナルな「亡霊」の旅 ——バース、パワーズ、エリクソン
第5章:「神話」仕掛けのアダム ——楽園の『旅路の果て』
第6章:〈不死〉の迷宮にて ——「夜の海の旅」から『びっくりハウスの迷い子』へ
第7章:複製という名の「亡霊」 ——〈死〉の『舞踏会へ向かう三人の農夫』
第8章:ホブズタウンより愛をこめて ——『囚人のジレンマ』における「爆心地(グラウンド・ゼロ)」への旅
第9章:Zの悲劇 ——浮浪者の『黒い時計の旅』
Ⅲ デリーロと「スペクタクルの日常」
第10章:広告の詩学/死学 ——差異と反復の『アメリカーナ』
第11章:〈死〉がメディアと交わるところ ——ノイズから『ホワイト・ノイズ』へ
第12章:師ミュラー来るの暗殺 ——『リブラ』の「亡霊」、オズワルド
第13章:内破する未来へようこそ ———九・一一・『マオⅡ』・『コークⅡ』
Ⅳ 逆光のアメリカン・サブライム
第14章:廃物のアウラと世紀末 ——封じ込められざる冷戦の『アンダーワールド』
第15章:蘇る標的 ——「撃つ/写す(シューティング)」の『アンダーワールド』
第16章:敗北の「鬼(イット)」を抱きしめて ——『アンダーワールド』における名づけのアポリア
Ⅴ 〈死〉の時間、時間の〈死〉
第17章:喪の身体 ——『ボディ・アーティスト』における時と消滅の技法
第18章:「崇高」という病 ——「享楽」の『コズモポリス』横断
第19章:九・一一と「灰」のエクリチュール ——『フォーリングマン』における"nots"の亡霊
第20章:時の砂漠 ——惑星思考の『ポイント・オメガ』
終章:シネマの旅路の果て ——「もの食わぬ人」における「時間イメージ」
結論:楽園のこちら側 ——〈死〉が滞留するところ
あとがき
注
引用・参考文献
索引