1. 禁酒小説のメディア戦略

禁酒小説のメディア戦略

大阪大学 森岡 裕一


与えられた課題は、「禁酒小説等を中心にメディアとアメリカ文学について語る」だが、禁酒物語を材料にメディアとアメリカ文学の関わりを語るというより、メディアとアメリカ文学の関わりをダシにして、禁酒物語(temperance narrative)を紹介することが中心となろう。禁酒小説のレトリックの特徴、そのメディア戦略などを考察したい。時間が許せば、たとえば、『アンクル・トムの小屋』など同時代の感傷小説、家庭小説との関わりについてもふれたいと思っている。

両者はメッセージ性において明瞭であるとともに、その感傷的レトリックをも共有している。だが、前者がもっぱら男性の書いたものであり、後者の担い手は女性である。両者のイデオロギー面での相違なども考えてみたい。