1. ワークショップU(黒人研究の会)(1号館3階 I-302教室)

ワークショップU(黒人研究の会)(1号館3階 I-302教室)

鳥の表象――エスニシティーを越えて

司会・発表者
国士舘大学 松本  昇
発表者
四日市大学 山本  伸
愛知県立大学 鵜殿えりか
広島国際学院大学 横田 由理
宮城学院女子大学(非常勤) 清水 菜穂



アフリカでは、鳥は人間界と異界を往還するものとして考えられている。アフリカン・アメリカン文学にも、鳥が異界を彷彿とさせる作品がある。何もこの種の作品はアフリカン・アメリカン文学に限ったことではなく、カリブ文学やネイティヴ・アメリカン文学などにもみられる。果たしてこれは何を意味するのか。またアフリカン・アメリカン文学には、リンチの場面に舞い上がる羽根を描いた作品もあれば、鳥が文化の継承を象徴する作品もある。鳥が表すキーワードはいくつもあるが、今回は、アフリカン・アメリカン文学、カリブ文学、ネイティヴ・アメリカン文学の作品にある異界と死、犠牲と自由に焦点を当て、鳥の表象について考察してゆく。

  1. 「jumbie birdの象徴性とその意味」では、山本伸が、カリブには死を予告する「幽霊鳥」(=jumbie bird)が存在することに注目する。Ithmis KhanやEarl Lovelace,その他の作家の作品に登場する「幽霊鳥」の描かれ方、様々な人種によって構成されるカリブ社会が作り出す人生観がどのようなものであるかについて迫ってゆく。
  2. 「Toni Morrisonの鳥」では、鵜殿えりかがモリスンの鳥の表象について論じる。黒人民話にあるような理想や夢を表現する大きな翼をもつ鳥とは違い、モリスンの小説では、例えばJazz における不気味な大きな鳥のイメージのように、鳥は死や不気味さと結びついている。その理由について考えてみる。
  3. 「鳥の表象を通してみる二つのアメリカ」では、横田由理が、合衆国においては鷲が国家権力の象徴になっているのに対して、ネイティヴ・アメリカンの伝統的な社会においては、鷲が人間界と霊界をつなぐものとして重要な役割を担っていることに着目する。そして鷲に象徴される政治的権威とネイティヴ・アメリカンとの差異を明らかにすることで、先住民作家の作品を通して合衆国の侵略と先住民抑圧の歴史を浮き彫りにしてゆく。
  4. 「創造のための犠牲、創造による自由――James Baldwinの“Sonny's Blues”」では、清水菜穂が、Baldwinの“Sonny's Blues”を取り上げ、その中で描かれている鳥が犠牲を象徴していること、その犠牲が創造のためのものであることを検証する。