1. ワークショップI(アメリカ文学・授業方法研究会)(2号館 2302室)

ワークショップI(アメリカ文学・授業方法研究会)(2号館 2302室)

開始時刻 午前11時55分〜午後1時15分

アメリカ文学をディベート、精読、多読する

責任者・司会・ 発表者
立教大学・非常勤 関戸 冬彦
発表者
杏林大学 倉林 秀男
発表者
慶應義塾大学・非常勤 深谷 素子



アメリカ文学を大学の一般的な英語の授業で扱う際に、文学作品の読解を通じて英語力の向上が期待できるのか?などという疑問や、文学作品は英語教育に相応しくないといった批判にさらされることは珍しくない。そこで、本ワークショップにおいて、文学作品を読むことによって、どのような学習効果が学生にもたらされるのかについて多角的に検討を行ってみたい。具体的にはアメリカ文学をいまあえて、教育、なかでも英語教育、における重要な教材と位置づけ、それらをより効果的に、かつ興味を喚起させるよう教える、興味を持って英語を学ぶ、ために、ディベート、精読、多読を取り入れた授業実践を報告、またその方法、効果を検証する。そして、アメリカ文学が持つ教材としての価値をこのワークショップにて明らかにしたい。なお、フロアの先生方ともそれらについて議論、共有する時間としたい

「アメリカ詩とディベート」では、関戸冬彦が、アメリカ詩を教室で扱うことで得られる文学的素養、語学学習としての意義は何なのかについて、ディベートという形式を用いることと共に論じる。そもそも、アカデミック・ディベートはアメリカのピューリタンたちの発想を下地にして発展して来たことを踏まえ、 詩を扱う意義、実際の授業運営、教授者として留意することなどを経験とともに紹介し、時間が許せば実際に学習者としてディベートを行ったものからの意見、授業を通して何をどのように学べたのか、もあわせて紹介する。

「アメリカ文学と精読」では、倉林秀男が精読の実践を以下の主旨にもとづいて論じる。 文学作品読解の原点は「精読」であり、英文を精読することにより、日本語と英語の違いに気づき、日本語にはない言語システムを修得する上でも必要な手段として長らく教育の現場でも用いられてきたが、今日の英語教育ではそうした手法を忌み嫌う傾向がある。そのため、こうした教育システムで学んできた学生たちは、精読せずに物語全体を把握するだけで満足してしまう。本来文学作品を正しく理解するには、まずはテクストを正確に理解することに始まるが、それができないとなると、誤読の上に解釈が成り立ってしまう危険性が生じる。そこで、これまで行なわれてきた英文和訳を目的とする授業ではなく、テクストを正しく理解するための「精読」の実践例を言語学の理論を援用しながら提示したい。

「多読授業内で、アメリカ文学を読む」では、深谷素子が、多読授業内でclass readerとしてアメリカ文学を用いた実践例とその意義、効果を論じる。多読というと、平易な英語に書き直されたgraded readersをドリルのように大量に読む活動というイメージが先行するが、多読が「英語による読書活動」である点に立ち返るなら、多読授業は、読書とは何かを受講者に問う場ともなり得る。本発表では、Raymond Carverの短編“A Small, Good Thing”をclass readerとして多読授業内に導入し、読書をGrabe (2009)の言う“a linguistic process”から、“an interactive process”、“an evaluative process”へと広げる指導が、受講者の読書にどのような影響を与えたかについて報告する。