1. 2.アメリカ文学史のイスラーム―第二次報告

2.アメリカ文学史のイスラーム―第二次報告

常磐大学 外山 健二

 

この研究では、アメリカ文学史にイスラームの視点を導入し、アメリカ文学史に新たな枠組みを提示することを狙いとする。今回の発表では、ことを念頭に、次の三つのアプローチを試みる。

第一に、アメリカ文学史の歴史的過程を踏まえ、19世紀から20世紀にかけて著述された、アメリカ文学史に表れるイスラーム表象を追究する。Fred Lewis Pattee, A History of American Literature (1896)等を手始めに検証するが、19世紀におけるの萌芽期を意識し、アメリカ文学史におけるイスラーム表象を問う。文学史上に表れた、Herman MelvilleやMark Twainの、Ernest Hemingwayの、John Dos PassosやJames Baldwinの等が対象となるだろう。

第二に、カノン(正典)形成で問題視される白人男性中心主義等の権威や、国家主義などから反映される文学的価値を検証する。これを通じてイスラームが排除され、あるいは表象されるプロセスを追究する。そのためには、新批評からポストコロニアル批評やカルチュラル・スタディーズへといったそれぞれの批評理論をもとに、作家や作品群をするアメリカの複雑な社会や政治的プロセスを追究する。この過程で、カノン形成の際にされるイスラーム的文学の価値を追究する。

第三に、以上の成果を踏まえアメリカ文学史のに迫りたい。上記の二点から、それぞれの時代に書かれたにみられるイスラームの欠如や排除、さらにはイスラーム表象に対して価値の与え方に差異があることが判明する。各時代のに表れたイスラームへの価値観を再整理し、その体系を明示したい。そうすることで、イスラーム表象に関するプロセスの追究を踏まえ、それぞれのイスラームへのアプローチに存在する価値観の差異から、どのようなが見えてくるのか、あるいはその差異を現代の視点から眺めたとき、どのようにを可能なのか、考察する。なかでも近年注目されているポストコロニアル文学の手法では、植民地的な、あるいはポストコロニアル的な視点での文学史のという実践が期待される。

なお、今発表は、2013年11月にチュニジアで開催された、チュニジア―日本 文化・科学・技術学術会議における研究発表「アメリカ文学史のイスラーム――第一次報告」でのRoyall Tyler, The Algerine Captive (1797)のイスラーム等の議論を踏まえたもので、第二次報告となる。