1. 3.へスター・プリンの妹たち―Alice CaryのHagar とCaroline Chesebro’のIsa, a Pilgrimageを読む

3.へスター・プリンの妹たち―Alice CaryのHagar とCaroline Chesebro’のIsa, a Pilgrimageを読む

関西学院大学(名) 大井 浩二

 

詩人としてのAlice Cary (1820-1871)の名前は文学辞典の類いにも出ているし、短編作家としての彼女の作品はClovernook Sketches and Other Stories (Rutgers UP, 1987)で読むことができる。だが、彼女の長編小説Hagar: A Story of To-day (1852)やMarried, Not Mated (1856)については、その題名さえ耳にしたことがないという読者がほとんどではないだろうか。とりわけ、Hagarという長編小説は、“regionalist”としての彼女の短編を高く評価するAnnette KolodnyやJudith Fetterleyによっても無視され、Woman’s Fiction (1993)の著者Nina Baymにいたっては、この作品を“so badly written”と酷評し、“Cary was a feminist, a poet, and an adherent to outdated images of women.”(強調引用者)と切り捨てている。

他方、Isa, a Pilgrimage (1852)の作者Caroline Chesebro’ (1825-1873)の場合、同世代のAlice Caryよりもさらに知名度が低いかもしれない。彼女はIsa, a PilgrimageのほかにChildren of Light (1853)やGetting Along (1855)といった長編小説をつぎつぎに発表して人気を博したが、現在の彼女は正当に評価されているとは言い難い。The Oxford Companion to Women’s Writing in the United States (1995)の項目執筆者は、“primarily domestic and sentimental plots that end with an obvious moral” を好むChesebro’ が女性の登場人物を“something akin to angels”として描いている点に触れて、“Typically, these women are finally rewarded for their uncomplaining self-sacrifice and simple goodness”と解説しているが、こうした評言がIsa, a Pilgrimageに当てはまるとは到底考えられない。

この同じ年に上梓されたHagar とIsa, a Pilgrimageを、Truth’s Ragged Edge (2013)の著者Philip Guraが“7 Unappreciated American Novels”のリストに載せたのは、そうした状況を意識したからだろう。本発表では、2冊の小説が2年前の1850年に出版されたThe Scarlet Letter の終わったところから始まる物語であることを明らかにするために、愛する牧師に捨てられて未婚の母となったHagarと、正式な結婚をしないまま相手の男性との間に子どもをもうけたIsaがたどった人生の軌跡を、Hawthorneの作品の結末でHester Prynneが抱いている“her firm belief, that, at some brighter period, when the world should have grown ripe for it, in Heaven’s time, a new truth would be revealed, in order to establish the whole relation between man and woman on a surer ground of mutual happiness”と関連づけながら検討してみたい。